枯松神社
外海・黒崎教会の近くから少し山を登ったところにひっそりとたたずむ枯松神社は、
サン・ジワン様という外国人宣教師を祀った珍しいキリシタン神社。
(ほかにキリシタンを祀った神社は、淵神社の桑姫社、伊豆大島のおたあね大明神などがある)
サン・ジワン様については、日本人キリシタンの指導者だった
伝道師バスチャンの師であったことぐらいしかわかっていない。
谷真介『キリシタン伝説百話』に収録された「バスチャンの予言」という話によると、
1610年に長崎港で撃沈されたポルトガル船に乗っていた神父で、
23年間潜伏しながらバスチャンとともに九州各地で布教を続けていたが、
「国に帰る」と言って、最後は海の上を歩いて姿を消してしまったという。
外海地方はカクレキリシタンの里として有名だけれど、人々が信仰を保持できたのには、
キリシタンと知りながら匿ってくれた寺(樫山町、天福寺)の存在も大きい。
それゆえ明治6年に禁教が解かれると、この地方は
カトリックに戻った人々、カクレキリシタンの信仰を続けることにした人々、
そして天福寺の檀家となった人々などに分裂してしまった。
その状態を解消するべく、2000年頃からこの枯松神社で
カトリック、カクレキリシタン、仏教が合同で行う枯松神社祭が開かれるようになった。


かつて人々はここでオラショを唱えた。

石段を少し登ります。



黒崎教会の野下神父の呼びかけで始まった枯松神社祭。カトリック、カクレキリシタン、仏教、神道が合同で行う。


ミサ、そしてオラショの奉納


南山大准教授ムンシ・ロジェ・ヴァンジラさんによる講演。


【アクセス】
国道202号線で、黒崎教会の少し手前を右手に。徒歩だと20分ほど。近くに運動公園の駐車場があるので、車ですぐ近くまで行くこともできます。
【本】
・ムンシ・ロジェ・ヴァンジラ 『村上茂の伝記ーカトリックへ復帰した外海・黒崎かくれキリシタンの指導者』
・谷 真介『キリシタン伝説百話』