
崎津天主堂、天草コレジヨ館
先日、10年ぶりに天草を訪れました。
10年前といえば、教会やキリシタン関連史跡巡りを本格的に始めたばかりの頃。長崎市内や外海あたりの比較的近場の教会や史跡はある程度回り、そろそろ少し離れたところにも行ってみようと思って、最初に行ったのが天草でした。
とは言っても日帰りだったのでそれほど時間もなく、訪れたのは本渡の資料館とコレジヨ館、大江天主堂、そしてこの崎津天主堂ぐらいだったのですが、中でもこの崎津天主堂は、まず海辺の小さな集落にこんな立派な教会があるという風景、さらに内部は畳敷きで扇風機が置かれ、教会前には鯉が泳ぐ池にマリア様が立っていて、こういう和洋折衷なところが、自分が日本の教会やカトリックの歴史に魅かれる理由の一つなんだとあらためてはっきり認識することができた場所でした。
この崎津という場所は、もともと16世紀(1569年)にルイス・デ・アルメイダが布教をした場所。16世紀末には宣教師を養成するコレジヨがこの近くに設立され、天正少年使節の一行によってヨーロッパからグーテンベルクの印刷機やヨーロッパの楽器も持ち込まれ、キリスト教文化が栄えました。この印刷機や楽器などは、ここから車で数分の「天草コレジヨ館」に複製が展示されています。
しかし禁教令以降は衰退。現在崎津天主堂が建っている場所は、江戸時代には踏み絵が行われていた所で、パリ外国宣教会のハルブ神父が主任司祭を務めた時代、1934年(昭和9年)に、鉄川与助の設計・施工で現在の教会が建てられました。踏み絵が行われていた場所に建てられた教会といえば浦上天主堂も確かそうだったと思います。
さて、10年ぶりに訪れた崎津は、以前と変わらない静かな集落でしたが、以前は集落内の小さな駐車場に車を置くことができたのが、現在は集落の入り口には警備員がいて、許可証を持った車以外は入れなくなっていました。車は国道を挟んで反対側のガイダンスセンターのところに停めることになっています。

国道から見た崎津の集落

中には畳が敷かれています。

ファティマの聖母と池の鯉

松とマリア様

集落の屋根の間からのぞく教会の尖塔。

近くの神社から。


パリ外国宣教会 のハルブ神父のお墓。1945年にここ崎津で帰天した。

コレジヨ館に展示されている印刷機。

館内は一部を除いて写真撮影可です。


崎津から少し内陸に入るとクレソンが自生している川があります。これはかつて宣教師によって持ち込まれたもの。これも一つの歴史です。